一条工務店の坪単価・特徴・商品ラインアップ

近年、高気密・高断熱や省エネが住宅建築のトレンドとなっており、省エネ性能に優れた家を希望する方が増えています。

この記事では、高気密・高断熱を得意としているハウスメーカーの一つである「一条工務店」について解説します。

一条工務店の概要

一条工務店は、1978年に設立された静岡県浜松市に本社を置くハウスメーカーです。

一条工務店は「家は、性能。」をスローガンとし、「断熱性」「気密性」「耐震性」「耐久性」など住宅に関する数々の性能が非常に優れているのが特長です。

年間で１万件を超える住宅を建てているため「最新年間で最も売れている注文住宅会社」として2022年にギネス世界記録に認定されています。

一条工務店の坪単価

商品別の坪単価

商品名	坪単価
アイ・スマート（i-smart）	約70万円～
グラン・スマート（GRAND SMART）	約80万円～
アイ・キューブ（i-cube）	約68万円～
グラン・セゾン（GRAND SAISON）	約75万円～
セゾン（SAISON）	約70万円～
セゾン A（SAISON A）	約65万円～
ブリアール（Brillart）	約65万円～
円熟の家　百年	約70万円～
アイスマイル（i-smile）	約60万円～
ハグミー（HUGme）	約50万円～

こちらの坪単価については「建物本体価格」のみとなっています。

一条工務店の建築費用については、下記のとおり複数の項目で構成されているため、上記の坪単価の他に費用が掛かってきます。

実際に掛かる費用の目安

我が家の費用を例に、実際の費用の目安を算定します。

我が家の実際の坪単価は約105万円です。

アイ・スマートの坪単価が約70万円～ですので、坪単価の約1.5倍となりました。

ただ、我が家は高額な地盤改良が必要となり、オプションを数多く採用したことや平屋建てということもあり坪単価は通常より高めとなっています。

それを考慮すると、商品別の坪単価の約1.3～1.5倍が実際に掛かる費用の目安といって良いでしょう。

一条工務店は、紹介割引を利用することで非常にお得に建てることができます。一条工務店に少しでも興味のある方は、別記事で紹介割引について詳しく解説していますので是非そちらもご覧ください。

一条工務店の商品ラインナップ

商品の説明の前に、商品の特徴に大きな影響を与える工法の違いについて説明します。

一条工務店の商品の工法は大きく「2×6工法」と「軸組工法」の２つに分かれています。工法の違いにより特徴は大きく変わり、一条工務店の代名詞とも言える断熱性能も工法によって変わります。
※2×6工法は「枠組壁工法」、軸組工法は「在来工法」とも呼ばれます。

アイ・スマート（i-smart）【人気No.１】

坪単価：約70万円～

発売から14年が経ち、2021年時点で累計6.5万棟の販売実績がある一条工務店で一番人気の商品です。

非常に高性能な断熱材が標準仕様であり、業界最高レベルの断熱性能と外壁タイルのシンプルな外観が特徴です。

大手住宅メーカー「商品別販売棟数」で8年連続1位を獲得しています。（2015年度～2022年度）

グラン・スマート（GRAND SMART）

坪単価：約80万円～

「グラン・セゾン」のデザイン性と、「アイ・スマート」の業界最高レベルの性能を融合し、2つの商品の特徴を兼ね備えたものが「グラン・スマート」です。

２つの商品を融合しているため選択できる内装や住設の選択肢が多いのも特徴で、高気密・高断熱の性能と内装デザインにこだわりたい方達に人気の商品となっています。

2023年度の商品別販売棟数において１位となっています。

アイ・キューブ（i-cube）

坪単価：約68万円～

アイ・スマートやグラン・スマートと同様に高気密で、業界最高レベルの断熱性能を誇っています。

可愛らしくシンプルな住設となっているため、その分坪単価が抑えられています。

業界最高レベルの断熱性能は欲しいけど費用はできる限り抑えたいというコストパフォーマンス重視の方にオススメの商品となっています。

グラン・セゾン（GRAND SAISON）

坪単価：約75万円～

アイ・スマートやグラン・スマートなどは2×6工法ですが、グラン・セゾンは軸組工法であるため間取りの自由度が高くなります。

高級感のある外装・内装・木目調の住設が特徴で、落ち着いた雰囲気となります。

2×6工法に比べて気密性能・断熱性能は多少劣りますが、それでも業界最高水準の性能であることに変わりはありません。

セゾン（SAISON）

坪単価：約70万円～

セゾンは、格調高いヨーロピアンスタイルのデザインと素材にこだわった、本物志向の本格木造注文住宅です。

室内空間には無垢材がふんだんに使用され、上質な空間となっています。外壁レンガタイル貼りが落ち着いた佇まいを演出します。

重厚な雰囲気の外観と、木のぬくもりに包まれた室内空間で満足感が深まる住まいを実現しています。

セゾン A（SAISON A）

坪単価：約64万円～

「セゾンA」は「セゾン」と同様にヨーロピアンスタイルのデザインですが、セゾンよりもカジュアルな雰囲気となっています。

ナチュラル感のある素材で、明るく欧風モダンな内装材が特徴です。

一条工務店の注文住宅の中では一番坪単価が安い商品となります。

ブリアール（Brillart）

坪単価：約65万円～

ブリアールは南欧風の明るいデザインの商品となっています。

南欧の住宅に用いられているオールドテラコッタ瓦が特徴的で、屋根に表情を与えるパステル調の「色ムラ」が施されています。

内壁にパイン材の羽目板を採用することができ、木材の温かみを感じることができる印象的な内装となっています。

円熟の家　百年

坪単価：約68万円～

一条工務店で唯一の和風住宅の商品がこの「円熟の家　百年」です。

床の間や雪見障子などのある本格的な和風住宅から、現代風にアレンジした和モダン住宅まで、日本の伝統美を活かした和の住まいを実現しています。

アイ・スマイル（i-smile）

坪単価：約60万円～

自由設計ではなく、5000プランの中から選ぶセミオーダーの規格住宅の商品がこの「アイ・スマイル」です。

一条工務店の高い性能の家を、コストを抑えて建てられるため人気の商品となっています。

ハグミー（HUGme）

坪単価：約50万円～

設立45周年を記念して2023年1月11日から販売されたのが「ハグミー」です。

アイ・スマイルと同様に規格住宅の商品で、100プランの中から選ぶことができます。

一条工務店の他の商品に比べて標準仕様が少しグレードを落とした仕様となっています。その分コストカットされ、一条工務店にしては比較的リーズナブルに建てることが可能な商品となっています。

一条工務店の家の性能

耐震性

力を面で受けるモノコック構造

一条工務店の構造は、構造用合板により面で力を受け止め分散して、高い耐震性を確保しているモノコック構造というものになります。

商品の工法により「「夢の家」モノコック構造」と「ツインモノコック構造」の２種類があります。

①「夢の家」モノコック構造

グランセゾンやブリアールなどの軸組工法の商品の構造は「夢の家」モノコック構造です。

従来の「木造軸組構法」では、外から受ける力を柱が交差する“点”で受け止めていましたが、これでは接合部分に力が集中してしまいます。

各階を六面体の箱型パネルで構成することによって、その力を“面”で受け止め、外からの力を分散し、ゆがみにくく耐震性に優れた構造としています。

「面」で外力を受ける構造である枠組壁工法（2×6工法など）に似ていますが、あくまでベースは在来軸組工法ですので、間取りの自由度が高くなっています。

②ツインモノコック構造

グラン・スマートやアイ・スマートなどの2×6工法の商品の構造はツインモノコック構造です。

モノコック構造と同様に、床は垂直方向にも水平方向にも強さを発揮する「剛床」としています。

また、それに加えて水平方向の剛性をさらに強固にするために天井にも構造用合板を採用し、壁の四面を上下から挟みこんで強い六面体を構成しています。

こちらは枠組壁工法ですので、「夢の家」モノコック構造に比べて間取りの自由度が低くなります。
※いわゆる一条ルールの制約が大きくなります。

許容応力度計算による耐震等級３

住宅の耐震性能を確かめる方法は主に以下の３つがあります。

①→②→③の順で計算法方法が複雑となり、より安全性が高くなっていきます。

住宅性能表示による耐震等級３を取得するためには、②の「品確法による性能表示計算」というものを行い、所定の耐震性能を有しているかを確かめる必要があります。

ですが、一条工務店では「品確法による性能表示計算」よりも詳細な計算が必要で、より安全性が高い計算方法である③の建築基準法による「許容応力度計算」を行なっています。

一条工務店では、一邸一邸すべてについて許容応力度計算を行った上で耐震等級３を取得しています。

○各計算方法の違い

計算方法	壁量の検討	部材の検討	地盤・基礎の検討
仕様規定	○	△	△
性能表示計算	○	○	○
許容応力度計算	◎	◎	◎

耐震等級３とは、建築基準法で定められてる耐震性能の1.5倍の耐震性能を有していることを示します。

実大耐震実験

一条工務店は理論上の数値だけではなく、実物大の建物で実験して耐震性を確かめています。

2階建て、3階建て、1階がガレージのタイプなど、様々な構造の実際に販売する商品タイプで実験を行っています。実際に地震力を建物に与えることによって、地震に強く安心であることを実証しています。

また、一条工務店の実験基準は倒壊しないことではなく、「地震後も安心して生活が送れる」こととしています。

実験前後に気密測定を行い、その性能値(C値)に変化がなく、建物の気密性能が維持されていることを立証しています。

断熱性・気密性

業界最高水準の高断熱構造

断熱構造については、商品の工法により「夢の家 I-HEAD構法」と「外内ダブル断熱構造」の２種類があります。

①夢の家 I-HEAD構法

外壁はもちろん天井や床まで、家全体を高性能断熱材（EPS1号相当）で包み込むことで優れた断熱性を発揮しています。

窓には防犯ツインLow-Eトリプル樹脂サッシを採用し、まるで家全体が魔法瓶で包まれたような高断熱な住まいを実現しています。

「ロスガード90」という熱交換換気システムを採用し、換気による熱逃げを最大限に防いで、室内の快適な温度を維持します。

項目		内容
断熱材		EPS1号相当
断熱材の厚さ	天井	145mm
	外壁	120mm
	床	90mm
窓		防犯ツインLow-Eトリプル樹脂サッシ
換気システム		ロスガード90

②外内ダブル断熱構造

夢の家 I-HEAD構法と同様に家全体を断熱材で包み込んでいますが、EPS1号相当よりも高性能な断熱材である「高性能ウレタンフォーム」を採用し、さらにより厚みも大きくなり、業界トップクラスの断熱性能を発揮しています。

夢の家 I-HEAD構法と同様に、窓には防犯ツインLow-Eトリプル樹脂サッシ、換気システムは「ロスガード90」を採用しています。

項目		内容
断熱材		高性能ウレタンフォーム
断熱材の厚さ	天井	235mm
	外壁	140mm＋50mm
	床	140mm
窓		防犯ツインLow-Eトリプル樹脂サッシ
換気システム		ロスガード90

高い気密性能

夏の熱気や冬の冷気はいくら断熱性能が高くても隙間があれば入ってきますが、一条工務店の住宅は隙間の少ない高気密構造となっています。

気密性能にはC値という家の隙間の量を表している数値があります。単位は㎠/㎡となり、床面積１㎡当たりで何㎠の隙間があるかを示します。

一条工務店は、そのC値が平均で０．５９と非常に小さい数値です。
これは、４５坪の住宅の場合でハガキ０．６枚分の隙間しかないということになります。

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まとめ

記事内にもあるとおり、一条工務店といえば業界トップクラスの断熱性能が大きな特徴ですが、デザイン、工法や断熱性能などに違いがある商品が数多くあります。

断熱性能や耐震性に優れる2×6工法の商品が良いか、設計の自由度の高い軸組工法の商品が良いかなど、家づくりに求める理想像は人それぞれです。

費用・性能など自分の理想の家づくりの参考にしていただければ幸いです。