2022年に一条工務店で平屋のマイホームを建築した一級建築士のノブユキです。
愛車を雨風から防いでくれて、雨天時の車の乗り降りにも便利なカーポートの設置を考えている人も多いでしょう。
ですが、きちんと安全に建てないと台風などの強風時に壊れてしまい、最悪の場合は隣家に飛んでしまい被害を加える可能性もあります。
この記事では、カーポートを安全に建てるための方法について解説します。
カーポートの現状
安全性の確保には建築基準法に適合させる必要がある
建築基準法では、建築物に関して建ぺい率や容積率、高さ制限など建物の大きさなどに関わってくる規定の他に、地震や強風などに耐えうるよう構造についての規定もあります。
カーポートは建築基準法上「建築物」となるため、建築基準法に適合させることが安全性を確保する最大の方法です。
建築基準法の構造基準は、震度6強や7の地震時に倒壊しない程度の耐震強度となっています。つまり、建築基準法の構造基準に適合していない場合は、地震時に倒壊の危険性があるということです。
カーポートのほとんどは建築基準法に適合していない
あなたの近所のお家でもカーポートはたくさん建っていると思いますが、9割以上のカーポートが建築基準法に適合していません。(断言できます!)
建築基準法に適合していない理由としては主に下記の2つの内容です。
- 基礎の寸法が小さい
- カーポート自体が構造基準を満たしていない
特に「基礎の寸法が小さい」というのが非常に多く、建築基準法に適合していないカーポートのほぼ全てについて、基礎の寸法が安全な大きさではありません。
確認申請をしていない
床面積が10㎡以上のカーポートを敷地内に建築しようとする場合は確認申請が必要となります(防火地域・準防火地域では10㎡未満でも必要)。
確認申請を行っていれば、市役所や指定確認検査機関という確認申請を審査する機関が建築基準法に適合しているかを確認するため、安全性が担保されたカーポートが建築されます。
しかし、ほとんどのカーポートが確認申請を行っておらず、そのような現状であるため建築基準法に適合していないカーポートが多く建っているという実情があります。
安全なカーポートを建てる方法
構造基準について建築基準法に適合させることが、安全なカーポートを建てる最良の方法です。
建築基準法に適合させるには次のような方法を取りましょう。
建築基準法対応の商品を選択する
ほとんどのカーポートは、建築基準法上「アルミニウム合金造」の建築物となります。
国土交通省告示第410号において、「アルミニウム合金造の建築物」の安全上必要な技術的基準(部材の厚さ・接合方法など)が定められており、これらの基準を満たせば法律上「安全」ということになります。
しかし、販売されている全てのカーポートが技術基準を満たしているとは限りません。
カーポートを販売している大手メーカーである「LIXIL」「YKK AP」「三協アルミ」「四国化成」などは建築基準法に適合している商品ということを公表しています。
わざわざ公表しているということは、建築基準法に適合していない商品も流通しているという可能性が考えられます。
建築基準法に適合していると公表していないメーカー・商品の場合は、建築基準法適合商品であるかを確認しましょう。
- 建築基準法適合商品と公表しているか確認
- 公表していない場合は直接メーカーに確認する
「国土交通省告示第410号に適合している商品ですか?」と聞くのが良いでしょう。
適切な基礎の大きさとする
基礎の寸法については、メーカーが商品ごと・地耐力ごとに寸法を明示していることが多いです。
そして、必要な基礎寸法は意外と大きいです。
下の写真は我が家のカーポートですが、2台用の4本柱の製品で、50cm角の立方体の基礎が必要となりました。地耐力が小さい場合はもっと大きい基礎が必要となります。
そして、下の写真のような片方の柱だけで支えている構造(片持ち柱)のカーポートは、柱の本数が少ないので更に大きな基礎が必要となります。
適切なコンクリートで基礎を作る
コンクリートの製造については。JIS(日本工業規格)において種類や品質基準,検査方法,原材料の貯蔵,製造,運搬の全般にわたり,方法や手順が細かく規定されています。
建物の基礎などに用いられるコンクリートは、設計通りの強度が出るようにJISの認証工場で製造されなければなりません(建築基準法で定められています。)。
カーポートのメーカーが示している基礎については、「Fc18相当」など設計強度を示しています。
くれぐれも、強度の保証がない現場で練って作ったコンクリートを使用することは無いようにしましょう。
コンクリートはJIS認証を受けている工場(プラント)のものを使用しましょう。
基礎と柱が偏芯する場合には専用部材を使用する
適切な大きさの基礎とした場合であっても、柱を正しく設置しないと安全性は確保されません。
通常は基礎の中心に柱を建てることとなりますが、敷地や塀の端ギリギリに柱を建てたい場合などは、基礎の端の方に偏芯して柱を建ててスペースの有効活用を図る事があります。
しかし、メーカーは基礎の中心に柱を建てる想定で強度の計算を行っているため、中心からずれて柱を設置した場合は所定の強度が確保されません。
偏芯する場合は、下の写真のような偏芯基礎の専用部材を使用することで安全性を確保することができます。
偏芯して柱を設置する場合は基礎に専用部材を使用しましょう。
安全なカーポートの事例紹介
我が家のカーポート(LIXILのフーゴF 2台用)を事例として、カーポートを安全に建てるためのプロセスを紹介します。
建築基準法対応の商品の選定
メーカーのカタログや問い合わせをするなどして建築基準法対応の商品を選びます。
我が家の場合は、LIXILの「建築基準法対応商品」のカタログから、「フーゴF 2台用 60-57型」を選びました。
基礎の大きさ・深さの決定
地耐力の確認
基礎の寸法は地耐力によって変わり、強い地盤であるほど基礎を小さくすることができます。
地盤調査をしていればその結果を基にすれば良いですが、地耐力がわからない場合は、LIXILのカタログに載っている下の表を参考にして地耐力を推定すれば良いでしょう。
我が家の場合は、地盤調査結果によりカーポート建築予定部分は約100kN/㎡であることがわかりました。
必要な基礎寸法の確認
地耐力がわかったら、カタログに記載されている基礎寸法を確認します。
LIXILでは下記の画像の様に基礎寸法が記載されています。該当の商品・サイズと地耐力の組み合わせで、「基礎の幅(A)」「奥行(B)」「深さ(h)」を確認します。
我が家の場合は、フーゴF 60-57型 地耐力100kN/㎡のため、500mm×500mm×500mmの基礎寸法が必要となりました。
実際に必要基礎寸法が確保されているか確認
カーポートの施工の際に、業者さんがカタログで確認した基礎寸法をきちんと確保して掘削しているかを確認します。
我が家の場合は500mm角の基礎寸法が必要でしたが、実際は「幅650mm」「奥行700mm」「深さ500mm」と必要基礎寸法以上の大きさとなっていました。
適切なコンクリートであるか確認
基礎にコンクリートを流し込む前に、業者さんが現場練ったコンクリートでは無く、JIS認証工場から購入したコンクリートであることを確認します。
LIXILでは基礎の計算に用いているコンクリート強度はFc18を想定しているため、我が家ではFc21とより強度の大きいコンクリートを採用しました。
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まとめ
建築基準法に適合した安全なカーポートを建てる方法を解説しましたが、基礎の大きさに驚いたことではないでしょうか?
本当はこのくらいの大きさの基礎が必要なのです。そして、1台用の柱が片側にしかないカーポートは更に大きな基礎が本当は必要です。
これからカーポートの建築を考えている方は、この記事を参考に是非とも安全なカーポートを建ててください。
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