2022年に一条工務店で平屋のマイホームを建築した一級建築士のノブユキです。
マイホームを建築・購入する方のほとんどの人が住宅ローンを組むと思います。
健康な方であれば心配することはないでしょうが、現に持病がある場合や、がんの経験があるなど既往歴がある方は、審査が通って住宅ローンを組めるのか気になるところだと思います。
私は住宅ローンの審査直前に「がん」であることがわかりました。
正確には、NET(神経内分泌腫瘍)という、人口10万人当たり3~5人の発生と言われている希少がんでした。
術後に住宅ローンに申し込みましたが、「がん」経験者の私の住宅ローン審査結果や、選択した住宅ローンについて事例を紹介したいと思います。
既往歴が住宅ローンに影響がある理由
まず初めに、住宅ローンの審査になぜ既往歴が影響するのか、
それは、団体信用生命保険への加入義務があるからです。
団体信用生命保険とは
団体信用生命保険は一般的に「団信」と呼ばれ、住宅ローンを借り入れる際に、銀行などの金融機関と提携して提供される保険商品です。この保険は、ローンを返済中の債務者が死亡や高度障害状態になった場合に、残りのローン残高を保険によって支払うこととなります。
保険料については、通常、ローンの金利に組み込まれる形で支払われるため、個別に保険料を支払うわけではありません。団体信用生命保険に加入することで、債務者本人だけでなく、その遺族や家族も安心して生活を維持することができます。
団体信用保険への加入必須
住宅ローン契約において保険の加入が条件として組み込まれることが一般的です。債務者が何らかの理由で返済不能となる事態を避けるため、団信によってローンを保証します。金融機関にとってもリスク管理の一環として重要です。
金融機関は貸し倒れのリスクを減らし、債務者もリスク管理の一部を保険に任せることができ、双方にとって安全な住宅ローン利用が可能になるのです。
ハードルは団信加入時の告知義務
団信への加入申込みには、商品によって期間などが多少違うと思いますが次のような内容を告知する必要があります。
- 1~3か月以内に医師の治療・投薬を受けたことがあるか
- 2~3年以内に指定の病気で手術を受けたこと、医師の治療・投薬を受けたことがあるか
- 2~3年以内に健康診断・人間ドックで再検査等の指示を受けたことがある
該当がある場合には告示事項として自身の既往歴などについて申込書に記載する必要があり、病気の種類や程度によって団信の審査に落ち、加入できないことがあります。
団信の審査落ち=住宅ローン審査落ち
団信の審査に落ちて加入できないということは、融資を行う金融機関側からすると、債務者が亡くなった場合などに融資額を回収できる保証がなくなるので住宅ローンの融資をしてくれません。
つまり、自分の年収や勤務先などの信用情報など関係なく、団信に入れないと住宅ローンは審査落ちです。
がん経験者の住宅ローン審査の事例紹介
それでは、がん経験者の私が申請した住宅ローン審査がどのように進んだか紹介したいと思います。まずは、私自身や病気などの情報です。
年齢 | 30代 |
病気の種類 | NET(神経内分泌腫瘍) |
病気の手術時期 | ローン本審査の数か月前 |
住宅ローン申請先 | メガバンク、地方銀行、JAの3つ |
がんの内容・処置について
NET(神経内分泌腫瘍)とは、人口10万人当たり3~5人程度に発生する希少がんです。NETには悪性度による分類があり、G1→G2→G3の順に悪性度が高くなります。
私は直腸にNETが発生し、悪性度の一番低いG1でした。また、病理検査の結果、リンパ管や静脈への浸潤も認められませんでした。
手術についてはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という、腫瘍をナイフで剥離させて抉り取るような手術を行い、7日間入院しました。
- 直腸に発生したNET(神経内分泌腫瘍)
- グレードは悪性度の一番低いG1
- リンパ管や静脈への浸潤は認められず
- 手術はESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
- 入院期間は7日間
がん経験者の住宅ローン審査の実例
住宅ローン本審査の数か月前に「がん」が発覚し、手術をしてしまったため、安心しきっていた住宅ローン審査に一気に暗雲が立ち込めました。どこか一つでも審査が通ってくれれば良いなという気持ちで、いくつもの金融機関に申請を行いました。
本審査の申し込みをした金融機関
①りそな銀行
②某地方銀行
③JA
④りそな銀行のワイド団信プラン
住宅ローンの申請は金融機関ですが、団信への加入は保険会社となります。①~③の住宅ローンと提携している団信はそれぞれ保険会社が違っていたため、どれか一つに引っかかれば良いなという事で①~③の住宅ローンに申し込みました。(金融機関が違っていても団信の保険会社が同じであれば、団信の審査基準は同じのため)
また、金利は高くなりますがワイド団信プランにも申し込みました。
通常の団信よりも加入条件が緩和されているため、通常の団信では加入できない持病・病歴がある人でも加入ができる団体信用生命保険のこと。その代わり、金利が通常に比べて年0.3%程度上乗せされる。
本審査の結果
①りそな銀行 → 審査落ち
②某地方銀行 → 審査落ち
③JA → 審査落ち
④りそな銀行のワイド団信プラン → 審査落ち
そう、全滅です。
やはり、「がん」経験者にとって住宅ローン審査は非常にハードルが高いものだというものがわかりました。
審査に全落ちして住宅ローンはどうしたか?
住宅ローンに全落ちしてしまいましたが、住宅ローンを利用できなかったわけではありません。私の様に持病などで銀行の住宅ローン審査に通らなかった人でも利用できる住宅ローンがあります。
それはフラット35です。
私はARUHI(アルヒ)のフラット35の住宅ローンを利用してマイホームを建築しました。
審査全落ちしたがフラット35を利用できる理由
健康状態を理由に住宅ローン審査に全落ちした人がなぜフラット35であれば利用できるのか、その理由は、フラット35には団信加入の義務がないからです。
団信の加入義務がないので、住宅ローン審査は収入などの経済状況のみとなります。ですので、団信は付きませんが健康状態に不安がある方でもフラット35であれば住宅ローンを利用することができます。
死亡時の支払いのために生命保険を見直す
団信に加入していないということは、債務者の死亡などもしもの時があった場合であっても住宅ローンは払い続けなければなりません。つまり、配偶者や子供などの家族が残りのローンを払い続けなければなりません。
家族に迷惑を掛けないためにも、生命保険を見直して、もしもの時があった場合に備える必要があります。
正直、がん経験者にとって生命保険の加入も非常にハードルが高いです。ですが、条件によっては加入できる生命保険もありますので、団信による保証がない分を生命保険でカバーすることを強くオススメします。
ため、入院期間が7日間であった私は該当しませんでした。
このため、元々の保険金額に加え、住宅ローンの金額分を上乗せした保障金額に契約変更を行いました。
がん経験者でも加入できる生命保険はそう多くはありません。一つ一つ生命保険会社を探すのは結構労力が掛かります。
FP(ファイナンシャルプランナー)に相談し、がん経験者や健康状態に不安がある方でも入れる保険を探してもらうのが手間が無く、かつ確実でしょう。
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フラット35と他の住宅ローンとの違い
フラット35は固定金利型の住宅ローンです。銀行などの金融機関の住宅ローンは変動金利型や10年固定型など固定金利型以外のメニューがありますが、フラット35は固定金利一択です。
変動金利に比べて固定金利は金利が高くなっていますので、返済額はその分高くなります。しかし、変動金利は将来的に金利が変動して想定よりも返済額が増加する可能性がありますが、固定金利は融資された時点で返済額に変更がないため、将来的な計画が立てやすいというメリットがあります。
まとめ
がん経験者にとって住宅ローンの審査は非常に難しいということがわかりました。
他の持病の場合には審査に通るかもしれませんが、おそらく「がん経験者」は団信に加入するのは難しいでしょう。ですが、団信に加入できなくても私の様にフラット35という住宅ローンは利用できます。
私のように「がん経験者」や、健康状態に不安がある方で家づくりを考えている方にとって、住宅ローンに通るのかは心配であると思いますが、この記事を参考に家づくりを進めていただければ幸いです。
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