省エネ基準・ZEH(ゼッチ)・HEAT20の断熱性能(UA値)の違いは?-省エネ住宅-

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近年、高気密・高断熱や省エネが住宅建築のトレンドとなっており、一条工務店やスウェーデンハウスなどの高断熱を強みとしているハウスメーカーが人気となっています。

「省エネ」と一口に言っても、省エネに関する基準には省エネ基準ZEH(ゼッチ)HEAT20(ヒート20)など様々なものがあります。

この記事では、省エネに関する各々の基準の断熱性能について解説します。

目次

地域区分

日本の国土は南北に細長い形状となっています。北海道の様に寒さに厳しい地域や九州・沖縄の様に温暖な地域があり、地域によって気温条件が大きく変わります。

このため、全国を8つに地域に分けて、地域ごとにUA値、ηAC値といった省エネの基準値を定めています。

※UA値、ηAC値については次の項目で解説します。

出展:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/shoene-label/insulation.html

上記の図は日本を8つの地域に色分けしたものです。

この図では市町村別での地域区分はよくわかりませんが、下記のリンクにより市町村別での地域区分がわかりますので、お住いの地域がどの地域かはそちらをご覧ください。

※リンク先の下の方にある58ページ以降の別表10に市町村別の地域区分が記載されています。

リンク先:平成28年国土交通省告示265号(国土交通省HP)

住宅の省エネルギー性能

住宅の省エネルギー性能を評価する基準として「外皮性能」「一次消費エネルギー消費量」という2つの指標があります。

外皮性能

断熱性能の評価についてはUA値(ユーエー値)ηAC値(イータエーシー値)の2つの指標があります。

UA値とは?

外皮平均熱貫流率といい、室内の熱が外にどれだけ逃げてしまうかを表す数値。UA値が低いほど住宅の熱損失が少ない(≒気密断熱性能が良い)ことになる。

ηAC値とは?

平均日射熱取得率といい、太陽の熱がどれだけ室内に伝わるかを表す数値。夏の冷房空調負荷を算定するときに用い、ηAC値が低いほど真夏の日射の影響を受けにくく、冷房にかかるエネルギーが少なくて済む。

出展:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001460573.pdf)

建物の中で熱損失が大きい部位は窓となります。窓の断熱化の重要性について別記事で解説していますので、そちらもご覧ください

一次エネルギー消費量

「一次エネルギー」とは、石油・石炭・天然ガスといった化石燃料や原子力・水力といった発電や燃焼に要するエネルギーのことを言います。

住宅で使用する冷暖房機器や換気設備、給湯機器、照明機器などに使用するエネルギーを一次エネルギーに換算して評価します。

一次エネルギー消費量について、下記の設備が評価対象となります。

評価対象
  • 暖房・冷房設備でのエネルギー消費量
  • 換気設備でのエネルギー消費量
  • 照明設備でのエネルギー消費量
  • 給湯設備でのエネルギー消費量
  • 家電及び調理設備でのエネルギー消費量
ノブユキ

本記事では、省エネに関する各基準における「外皮性能」のUA値について解説します。

省エネ基準の断熱性能

省エネ基準とは、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)に基づいて定められているもので、建築物の使用によって消費されるエネルギー量に基づいて性能を評価する場合にその基準となる性能を言います。

省エネ基準は法制定後、時代に合わせて都度改正を行ってきました。
平成4年、平成11年、平成25年、平成28年の4回改正され、現在の省エネ基準は平成28年(2016年)の通称「H28省エネ基準」です。

2025年4月からは、原則すべての新築住宅に省エネ基準の適合が義務付けられることになります。

また、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅については、省エネ基準に適合していなければ住宅ローン控除を受けることができなくなります。

H28省エネ基準のUA値

地域UA値(W/㎡・K)
1地域(旭川市など)0.46
2地域(札幌市など)0.46
3地域(盛岡市など)0.56
4地域(仙台市など)0.75
5地域(さいたま市など)0.87
6地域(東京23区、大阪市など)0.87
7地域(福岡市など)0.87
8地域(沖縄県)
ノブユキ

省エネ基準は住宅性能表示(住宅性能評価)における断熱性能等級4に相当します。

断熱性能等級とは

断熱性能等級は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法)に基づき定められている住宅性能表示制度における指標の一つであり、文字通り断熱性能を表す指標で、単に「断熱等級」と呼ばれることも多いです。

2024年現在、断熱性能等級は等級1~7まで定められています。

2022年10月までは等級4が最高等級として定められていましたが、上位等級の新設により等級5~7が定められました。

建築物省エネ法の改正により、2025年4月以降は新築住宅に省エネ基準(=断熱等級4)の適合が義務付けられるため、断熱等級4が今後の新築住宅のスタンダードとなってきます。

ZEH(ゼッチ)の断熱性能

ZEH(ゼッチ)とは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で「エネルギー収支をゼロ以下にした家」のことです。

家全体の断熱性や設備の効率化を高めることで家庭で使用するエネルギーを抑え、それに加えて太陽光発電などでエネルギーを創ることで、1年間で消費するエネルギー量を実質的にゼロ以下にするというものです。

ZEH基準の断熱性能(UA値)は省エネ基準よりも厳しい要件となっています。
また、2030年までに新築住宅へのZEH基準への適合義務化が予定されています。

ZEHのUA値

地域UA値(W/㎡・K)
1地域(旭川市など)0.40
2地域(札幌市など)0.40
3地域(盛岡市など)0.50
4地域(仙台市など)0.60
5地域(さいたま市など)0.60
6地域(東京23区、大阪市など)0.60
7地域(福岡市など)0.60
8地域(沖縄県)
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ZEH基準は住宅性能表示(住宅性能評価)における断熱性能等級5に相当します。

HEAT20の断熱性能

HEAT20とは「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」の略称です。

住宅における更なる省エネルギー化を図るため、断熱などの建築的対応技術に着目し、住宅の熱的シェルターの高性能化と居住者の健康維持と快適性向上のための先進的技術開発、評価手法そして断熱化された住宅の普及啓発を目的とした団体で、メンバーは研究者、住宅・建材生産者団体の有志によって構成されています。

HEAT20の断熱性能の基準はG1G2G3の3つのグレードがあり、数字が大きいほど高水準となっており、いずれのグレードも「H28省エネ基準」や「ZEH(ゼッチ)」の基準を上回っています。

HEAT20 G1の断熱性能

地域UA値(W/㎡・K)
1地域(旭川市など)0.34
2地域(札幌市など)0.34
3地域(盛岡市など)0.38
4地域(仙台市など)0.46
5地域(さいたま市など)0.48
6地域(東京23区、大阪市など)0.56
7地域(福岡市など)0.56
8地域(沖縄県)
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HEAT20 G1基準は住宅性能表示(住宅性能評価)における断熱性能等級5と断熱性能等級6の間の基準値となります。

HEAT20 G2の断熱性能

地域UA値(W/㎡・K)
1地域(旭川市など)0.28
2地域(札幌市など)0.28
3地域(盛岡市など)0.28
4地域(仙台市など)0.34
5地域(さいたま市など)0.34
6地域(東京23区、大阪市など)0.46
7地域(福岡市など)0.46
8地域(沖縄県)
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HEAT20 G2基準は住宅性能表示(住宅性能評価)における断熱性能等級6に相当します。

HEAT20 G3の断熱性能

地域UA値(W/㎡・K)
1地域(旭川市など)0.20
2地域(札幌市など)0.20
3地域(盛岡市など)0.20
4地域(仙台市など)0.23
5地域(さいたま市など)0.23
6地域(東京23区、大阪市など)0.26
7地域(福岡市など)0.26
8地域(沖縄県)
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HEAT20 G3基準は住宅性能表示(住宅性能評価)における断熱性能等級7に相当します。

省エネ基準、ZEH(ゼッチ)、HEAT20の各基準値(UA値)の比較

スクロールできます
1地域2地域3地域4地域5地域6地域7地域8地域
断熱等級4H28省エネ基準0.460.460.560.750.870.870.87

断熱等級5
ZEH(ゼッチ)0.400.400.500.600.600.600.60
HEAT20 G10.340.340.380.460.480.560.56
断熱等級6HEAT20 G20.280.280.280.340.340.460.46
断熱等級7HEAT20 G30.200.200.200.230.230.260.26
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我が家の一条工務店のアイスマートはUA値0.25(モデルプランの値)なので、東京23区(6地域)では断熱等級7の断熱性能となります。

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まとめ

断熱や省エネ住宅について調べると様々な指標、基準が出てきます。本記事では各指標の基準値の違いについて解説しました。

UA値は 省エネ基準<ZEH<G1<G2<G3 の順番で基準値が厳しくなり、一番断熱性能が高いのはHEAT20 G3となります。

近年は、2025年の省エネ基準への適合義務化が定められるなど、国として住宅の省エネ化を進めています。

昨今は電気代などの光熱費が高騰しているため、光熱費が抑えられ、夏に涼しく冬に暖かい快適な省エネ住宅の家づくりを目指してみてはいかがでしょうか。

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